ひ と り も の
インター近くの私鉄沿線
一階コンビミニが取り柄だけのエレベーターもないマンション
扉を開けると目の前に小さなキッチン
床続きのダイニングはキッチンの倍すらない
残る7畳の洋室がリビング そして寝室
窓からは見えるのは古い住宅に車庫
五万もしない家賃のそれが限界
どうせ眠るだけだからが自分への言い訳
一人でドアを開けて灯りをつける
癒しはペットだけ
でも‥寂しくなんかない
話し相手ならネットに沢山いる
ここからが本当の私の時間
今日はどんな話をしようかな
嘘なんか云ってない
少し話に色をつけただけ
作り話なんかしてない
空想の世界を文字にしただけ
これが本当の私
寂しくなんかない‥寂しくなんか
今 だ か ら
あの人もお酒が好きだった
だから出逢いも盛り場のbarだった
私は楽しむためにお酒を呑んだ
でもあの人は忘れるためだったのね
あの人も煙草が好きだった
いつもシガレットケースにLARKを入れてた
私は息抜きで煙草を吸った
でもあの人は考えるためだったのね
あの人も珈琲が好きだった
時々一緒にCafeで珈琲を楽しんだ
私は憩うひと時の風味を楽しんだ
でもあの人には過去と向き合う味わいだったのね
今だからわかる
あの人を忘れたくてお酒も煙草も珈琲もやめた今だから
計 算 ず く
相手が素顔でも仮面をつけてしか恋することが出来なくなったお前
また新しい恋を引き寄せた
元彼の知合いに恋することは罪じゃない
きっかけに使ったのが罪
作り話で引き込んだのが罪
今度はうまくやりな
嘘はばれてもしたたかさは見抜かれないように
多過ぎる偶然を不思議に思われても計算ずくだと悟られないように
お前の心配はご無用
大人の男は無駄口も作り話もしない
今度こそうまくやりな
‥ 気
独り身のあなたにとって私は何
多分セフレ
私にとってあなたは浮気相手
何故なら夫がいる
あなたはひと時の快楽を求め
私は消え失せない躰の芯に響く快感を願う
浮気相手だから
淫らな姿になれる
ふしだらな言葉を口にする
したことのない事をする
お願い
まだしばらくは浮気と本気の狭間を漂わせて
嘘
君が嘘をついた
嘘はばれて嘘に成る
そうでなければ通り一遍の出来事
嘘は意味を変える
意味は見方を変え 思いを変え 心を変える
騙すなら生涯騙し続けて欲しい
そうすれば気にも留めない出来事だから
吐くなら死ぬまで吐き通して欲しい
そうすれば色褪せる思い出の一つに過ぎないから