2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
山里の離れの温泉宿は 連れ立った相手によって 景色は変わらずも気配が違う それは二人の関係が写し出す心模様 はやる思いを押し留めるのは 互いに道を外れた恋と知ってるから 湯上りに姿勢を正して山の一点を見つめる女の姿 それは燃え上がる情念と微かな後…
インター近くの私鉄沿線 一階コンビミニが取り柄だけのエレベーターもないマンション 扉を開けると目の前に小さなキッチン 床続きのダイニングはキッチンの倍すらない 残る7畳の洋室がリビング そして寝室 窓からは見えるのは古い住宅に車庫 五万もしない家…
あの人もお酒が好きだった だから出逢いも盛り場のbarだった 私は楽しむためにお酒を呑んだ でもあの人は忘れるためだったのね あの人も煙草が好きだった いつもシガレットケースにLARKを入れてた 私は息抜きで煙草を吸った でもあの人は考えるためだったの…
相手が素顔でも仮面をつけてしか恋することが出来なくなったお前 また新しい恋を引き寄せた 元彼の知合いに恋することは罪じゃない きっかけに使ったのが罪 作り話で引き込んだのが罪 今度はうまくやりな 嘘はばれてもしたたかさは見抜かれないように 多過ぎ…
独り身のあなたにとって私は何 多分セフレ 私にとってあなたは浮気相手 何故なら夫がいる あなたはひと時の快楽を求め 私は消え失せない躰の芯に響く快感を願う 浮気相手だから 淫らな姿になれる ふしだらな言葉を口にする したことのない事をする お願い ま…
君が嘘をついた 嘘はばれて嘘に成る そうでなければ通り一遍の出来事 嘘は意味を変える 意味は見方を変え 思いを変え 心を変える 騙すなら生涯騙し続けて欲しい そうすれば気にも留めない出来事だから 吐くなら死ぬまで吐き通して欲しい そうすれば色褪せる…
まるでスローモーション あなたの指が私の躰の起伏を味わうように這う まるでシーウインドウ あなたの湿り気のある生暖かい吐息が私の肌を滑る まるでバイブレーター あなたのねっとりとした舌の舞が私の全てで蠕く そこはラビリンス あなたの熱い視線を感じ…
男と女がポートレートを見つめていた 「また会えた喜びの抱擁か」 男が云った 女は無言だった 「別れの口づけ‥」 女が消え入るように呟いた 男が写真を見つめ続ける女の横顔に視線を向けた 「最後の別れの口づけ」 女が自分に言い聞かせるようにはっきり云っ…
ちょっと待って‥ 女が云った でも躰を這い回る男の手を止めようとはしなかった こんなところで‥ 女がもらした でも一糸纏わぬ艶かしい躰を隠そうとはしなかった 欲しかったんでしょう 女の覚悟が現れた 身動ぎせずに誘う視線で じっと見据える熱い眼差しで男…
抱いて もの憂げな目元がそういった 俺にはそう見えた 抱きしめて 薄開きの口元が無言でそう囁いた 俺にはそう読めた 一度でいいから スカートの中でゆっくり組み替えた脚が訴えた 俺にはそう思えた だからだろう そっと手を重ねたとき見つめてきた 顔を寄せ…
「私はどうなるの」 俺の煙草を咥えて煙を揺らしながらいった 初めて見る女の喫煙姿以上に肚の座ったその声に鼓動が早くなった ひとときの禁断の楽園に暗雲が広がり出す 惑わせと誘いもそれにのったら最後「加害者」になるのは男 自ら躰を開いても「被害者」…
出会うことのない間柄だからなのか 場末の小料理屋の娘から 格式ある料亭のお嬢様になりすましたのは 知りえるはずがないと踏んだからなのか 女子が集う公立の高校卒業から お洒落な有名私立大卒を匂わしてるのは 亡き人になったからなのか 不幸を絵に描いた…
正義 二言目にはこの言葉を出す そもそも正しいって何だ 道徳観を自分の都合で解釈したのがお前の正義だろう 巧みな思わせぶりの言葉選びでとりあえず心に染み渡るフレーズを紡ぎ出す でも でもな 響きのいいもっもらしい正義感よりも飾らない思いが選んだ言…
背伸びした女らしさと時折みせた妖艶さは俺の求めじゃない お前の計算 仮想の中でできる色事のいろはは俺からの話じゃない お前の誘い 選ばれた男達にしかみせたことのない裸をさらけ出したのは俺の願いじゃない お前の賭け 思い出すと熱くなる露わで卑猥な…
お前の男運の悪さはわかった それだからといって思いが叶わないと手のひらを返すのか 思い出を消し去るのではなく上書きしてまで守りたいのはお前の何 真実の愛を知らないから愛という言葉を纏いたがる 意図ある思いだから想いという言葉を安売りする ハート…
あなたが心配‥ 心配にさせたのは誰だ 案じているのは俺じゃなくて俺がいなくなったお前の先行きだろう 人が言うと書いて信 だから言葉は重い そして選ぶ 本心の嘘のつき方が下手過ぎる 心底思うときこそ言葉を選べよ 信じて欲しいなら